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アイオーン

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小泉義之はどこかで、今という時間(アイオーン)について

宇宙での星の衝突を例に記述していた。

おなじことを上野修は「ドゥルーズ/ガタリの現在」中の論考で

紀元前44年にローマでカエサルが暗殺されたという歴史上の

出来事を例にアイオーンを記述している。


僕も耳裏のイボを切除した出来事(!)をもちだしてアイオーンに

ついて考えてみたい。

12月初旬の検査(主治医による通常の腹部CTと超音波診断)

によって前立腺と膵臓を疑われた。

(前立腺腫瘍マーカー5.3)

中旬に医療センターでの精密検査を告げられ、

肝臓内科と泌尿器科の予約日が決まった。

その足で僕は皮膚科をたずねた。

スターキーの耳掛型の補聴器がイボのために収まりが悪い。

いっそイボを切除すればと思ったのだ。

そして実行した。

さて僕のイボ切除という出来事は誰にいつ起きたのか?

これが問いだ。

誰に?当事者は僕だ。医師が大失敗でもしない限り

医師にとっては出来事ではあるまい。

ではいつ起きたのか?

「膵臓もあきらかに肥大しています。普通ではない。」

と言われた時から僕のイボ切除は内在していた、といえる。

動揺して家にまっすぐ帰ってもちょっとアニージーかな、

そうだ、イボでも切って痛い目にあおうそれで気を紛らそう・・


イメージしてみてください。

「膵臓」を指摘されたその時、男の過去に伸びる出来事と

未来に伸びる出来事が生成され、なってゆく、というイメージを。

未来に伸びるどこかでイボ切りが「なった」。

同じように過去に伸びる線も変化した。

ベクトルとは違うだろうがそんな感じの線が変わった。

それらを高みから全体的に見通すことはできない。

アイオーンにはそのつど身を委ねるしかない。


時系列上の時を進めて「腸骨の硬化像」を考えてみる。

主治医は僕にはそれを告げていなかった。

12月末の医療センター泌尿器科で初めて知った。

この出来事も新たなアイオーン上で生起した。

そしてそこから過去へと新たな線が伸び、

未来へと新たな線が伸びる。

このとき新たなアイオーン途上の過去にはイボ切りはあるのか?

クロニクル的にはありそうな気がするがそれはたいしたことでは

ないような気もする。

過去のことはおいても未来に伸びる線が変化するのは

容易にイメージできると思う。

医師の語りの中にあるシーニュを読み取ろうともがく「患者様」は

さまざまな線を思い描く。その場では一種の「眩暈」が生じる。


保険会社の女子事務員のちょっとした疑念から犯人にさせられる

ヒッチコックの「間違えられた男」。

僕も「間違えられた男」かもしれない。

タイムマシンで過去に戻ってイボ切りを取り消し、

いったん12月末に戻る。

「腸骨の硬化像」を告げられて耳裏をそっとさわる。

そこにはイボがある。

「眩暈」といったのはそのことだ。

(やはりクロノスにイボ切りが記述されてないと困るなあ)

「バブルへgo」で2007年から1990年に

持ち込まれた週刊誌があった。

あれはタイムマシンで帰還したときにはないんだよね、

と思う「眩暈」だ。


「眩暈」に耐え、ずっとアイオーン途上に居続ける。

それは「希望」のひとつだとドゥルーズは言っているのか?


 

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