アンゲロプロス 朝日時評

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朝日新聞=「論壇時評」。高橋源一郎。
「老人の主張 暮らしを変えよう 時代と戦おう」

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深刻な経済危機にあえぐギリシャを訪ねた藤原章生は、
「国がどうなろうが、知った事ではない」とストを
繰り返すギリシャ人たちを「豊饒で無茶苦茶な人たち」
と呼ぶ。いったいどうしてそんなことをするのか。
彼は、76歳の監督テオ・アンゲロプロスに疑問をぶつける。
監督は自らの生涯を振り返りつつ
「いまは、戦争と比べても最悪の時代だ」と答える。
「長く西欧社会は、ギリシャも含め、本当の繁栄を
手にしたと借じてきた。だが、突如それは違うと
気づいた・・・。問題はファイナンス(金融)が
政治にも倫理にも美学にも、我々の全てに影響を与えて
いることだ。これを取り払わなくてはならない。
扉を開こう。それが唯一の解決策だ」
「扉を開こう」とは、「経済が全てに優先する、
いまの暮らしを変えよう」ということなのである。

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実はですね、僕もギリシャ騒動の映像に
アンゲロプロスを想起したのです。
アンゲロプロスはギリシャにいるのだろうか? と。
アンゲロプロスならどうするだろう、と。
いるんですね、ギリシャに。

記事をみて、図書館に『世界』を読まんと出かけた。
が、あいにく今日は休館日で果たせなかった。
ファイナンス(金融)が政治にも倫理にも美学にも・・・
というくだりにハッとするニンゲンがいったい
どれくらいいるのだろう。
そこが「分水嶺」だと気づいているニンゲンが
わが地球上にどれほどいるというのだろう?
わずかなセンテンスだけで、アンゲロプロスの
思考のイメージが伝わってくる。
資本や金融のからくりこそはひとつのドラマ、
ひとつの政策、ひとつの書評に浸透する・・そんな予見を
わたしたちは今こそ立てておかなければならない。
以下はオマケの自炊=スキャン。

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このページは、が2011年11月25日 17:52に書いたブログ記事です。

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