アンゲロプロス 『霧の中の風景』

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アンゲロプロス(ギリシャ)の『霧の中の風景』は
まさに「父捜し」のオィディプス系譜のシネマだ。
(同じ頃の『シテール島への船出』も、そうだけど)
ドイツにいると聞かされた父をたずねて
姉弟は酷薄な無銭の旅に出る。

「あちら側」をめざし旅に出る、という欲望を
ニンゲンはもつ・・・。それこそが
ニンゲンが生来「欠けた」生き物であることを
示している。生まれながらに「欠如」を抱えている。
初めに「欠如」があれば充足をめざすしかない。
オィディプス的に記述するとそうなるだろう。

アンゲロプロスの作品が
僕に魅力的であるのは曖昧な事実だ。
アンゲロプロスらしい印象的なシーンはいくつもあるが
このシーンもそのうちのひとつだろう。
テーマはオィディプスに連なるとしても
映像はイマジナブルで結晶は多義的だ。

警察署で待たされる姉ヴーラと弟アレクサンドロス。
雪が降ってくる。
署員は雪だ!雪だ!とみな外に出る。
首に縄をかけて人を殺めた女がいる。
外に駆け出す姉弟。
アンゲロプロス独特のイメージと長回し。

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このページは、が2011年2月 3日 05:29に書いたブログ記事です。

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