ドゥルーズ的成瀬巳喜男

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だから私は想像界の概念が
それほど重要であるとは思っていません。
想像界の概念は、一方では物理的、化学的、
あるいは心的な結晶作用を前提にしています。
想像界の概念によって規定されるものは何もなく、
逆に想像界の概念のほうが、交換回路のかたちを
とった〈結晶イメージ〉によって規定されるのです。
想像するということは、〈結晶イメージ〉をつくる
ことであり、映像を結晶と同じように機能させる
ことなのです。
ヒューリスティックな機能をはたすのは想像界では
なく結晶のほうであり、それは現働的なものと
潜在的なもの、透明と不透明、そして核と媒質という
三重の回路によって可能になるのです。
『記号と事件』(文庫版)

ドゥルーズとちがって僕は「もうひとりの小津」、
すなわち成瀬巳喜男の映像を愛する男です。
ドゥルーズは成瀬を知っていただろうか?

「女が階段を上る時」の結晶も、暗く重い。
だが僕の傾向であり、実は豊かなものなのだ。
銀座のママが、妻子持ちのしがない男にだまされる、
以下のシーンはそれを知るくだりだ。
背景には千住の「おばけ煙突が」みえる。
それだけのシーンだが僕にはよろしい。

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このページは、が2010年12月 3日 03:44に書いたブログ記事です。

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