王子の煙突
村田刑事の向こう側に煙突が見える。
たぶん「王子の煙突」でしょう。
佇んでいる場所は勇払の海岸だと思う。
この場所ではないか。
村田刑事が喪失したものは
妻、仕事への情熱だけではない。
親しかった世界、まっすぐな道理、自信、信頼・・・
まさにファロスですね。
まっすぐのびる道路も同じ象徴かな。
(オィディプス=クリシェそのもので申し訳ないが)
ニンゲンは村田刑事のようにイメージに翻弄され、
それでも反省的に生きる。
同時にイメージを組成し、ほぐし、また組成し
反省を繰り返す。
あれは実際に起きたことだったのか、単に幻視なのか、
不分明のまま生きていくしかないかのようだ。
それでいいのだ。
まっすぐなものがあるわけがない。
迂回し逡巡して生きるのがまっとうなのだ。
村田刑事に悲劇性をみるのではなく
ニンゲンのありうべき美しい「襞」、美しい「綾」をみる・・
生成変化を受け入れる・・
どうでしょうか?